生活保護での一人暮らし、受給額の目安と家賃補助の仕組みを解説

ぺんた

「生活保護を受けながら一人暮らしはできるの？」
「受給額はどのくらいで、実際の生活費は足りるの？」

こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか？

生活保護は、経済的に困窮している人を支援する制度ですが、どのくらいの金額が支給されるのか、家賃補助の仕組みはどうなっているのかなど、わかりにくい部分も多いですよね。

この記事では、生活保護で一人暮らしをする際の受給額や条件、実際の暮らし方、申請方法まで詳しく解説します。支給額の目安や節約のコツを知り、安心して生活するための情報をお届けします。

1 生活保護の基本情報
2 一人暮らしの生活保護受給額の目安
3 住宅扶助（家賃補助）の仕組みと上限額
4 生活保護での暮らし方と節約術
5 生活保護の申請方法と必要書類
6 まとめ

生活保護の基本情報

生活保護とは？

生活保護とは、日本国憲法第25条に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むために設けられた公的な支援制度です。
経済的に困窮している方に対し、生活費や住居費、医療費などの費用を国が援助します。

生活保護の目的は、単にお金を支給することではなく、自立を助けることにもあります。
そのため、働くことが可能な場合は就労支援を受けながら、自立を目指す仕組みになっています。

受給の対象となる条件

生活保護を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。

資産がないこと：貯金や高価な持ち物（車・土地・高額な保険など）を持っていない。
働ける状況にない、または収入が少ないこと：病気や障害で働けない、または最低生活費以下の収入しかない。
他の支援制度を利用しても生活が成り立たないこと：年金や失業保険、親族からの援助などを受けても生活ができない。

これらの条件を満たしている場合、生活保護の申請が可能です。

生活保護を受けるまでの流れ

生活保護を受けるには、以下の手順で申請を行います。

自治体の福祉事務所へ相談
- まずは住んでいる市区町村の福祉事務所（生活保護担当窓口）へ行き、相談します。
申請書類の提出
- 必要な書類（収入証明・資産状況・身分証明書など）を提出し、正式に申請します。
生活状況の調査
- ケースワーカーが自宅訪問し、生活状況を確認します。
審査結果の通知（通常2週間～1か月程度）
- 申請が認められれば、支給が開始されます。

生活保護を受けるメリット・デメリット

メリット

✅ 生活費が支給される → 最低限の生活が保障される
✅ 医療費が無料になる → 病気やケガの際の負担が軽減
✅ 住宅費の補助が受けられる → 家賃の負担が減る

デメリット

⚠ 資産を処分しなければならない → 車や貯金があると受給できない
⚠ 自由に使えるお金が少ない → 収入に制限があり、娯楽費などは厳しくなる
⚠ 周囲の目が気になる → 偏見や誤解がある場合も

受給中の制限や注意点

生活保護を受給する場合、以下のような制限があります。

収入が増えた場合は支給額が減る
ギャンブルや浪費は厳しく制限される
定期的にケースワーカーの訪問がある
働ける人は就職活動を求められる

これらの点を理解したうえで、生活保護の申請を検討することが大切です。

一人暮らしの生活保護受給額の目安

生活扶助と住宅扶助の違い

生活保護の支給額には、「生活扶助」と「住宅扶助」の2種類があります。

項目	内容
生活扶助	食費、衣類、光熱費などの生活費
住宅扶助	家賃の補助（地域ごとに上限あり）

生活扶助は全国一律ではなく、地域の物価水準などを考慮して決まります。

住む地域によって異なる受給額

生活保護の支給額は、居住地の物価によって異なります。
全国は「級地」と呼ばれる区分に分かれており、都市部ほど支給額が高くなります。

一人暮らしの生活保護受給額の目安（2024年時点）

地域	生活扶助（目安）	住宅扶助（上限）	合計
東京都23区（1級地-1）	約8万円	約5万3,700円	約13万3,700円
地方都市（2級地-1）	約7万円	約4万円	約11万円
田舎・郊外（3級地-1）	約6万円	約3万円	約9万円

実際に使える生活費はいくら？

支給額のうち、家賃（住宅扶助）を差し引いた金額が実際に生活費として使えるお金です。

例えば、東京都23区で家賃5万3,700円の物件に住む場合：
💰 生活扶助 8万円 − 家賃 5万3,700円 = 実際の生活費約4万6,300円

この金額で食費・光熱費・通信費などをまかなう必要があります。

生活保護費での家計管理のポイント

生活保護での暮らしは、無駄な出費を抑えることが重要です。

💡 家計管理のコツ

格安スマホに切り替える → 月2,000円以下のプランを活用
スーパーの特売を活用 → まとめ買いで節約
電気・ガスの使用量を管理 → 無駄な電気はこまめに消す
趣味にお金をかけすぎない → 無料で楽しめる趣味を探す

これらを意識すると、生活保護の範囲内でも安定した暮らしができます。

住宅扶助（家賃補助）の仕組みと上限額

住宅扶助とは何か？

生活保護の受給者には、家賃を補助する「住宅扶助」が支給されます。
これは、生活保護費の一部として支給されるもので、実際の家賃がこの金額を超えない範囲であれば、自己負担なく住むことができます。

しかし、家賃が住宅扶助の上限を超えている場合、その超過分は自己負担となるため、できるだけ上限内の物件を選ぶことが重要です。

地域ごとの家賃上限額一覧

住宅扶助の上限額は、地域によって異なります。
都市部では高めに設定され、地方では低めになっています。

2024年時点の住宅扶助上限額（単身世帯）

地域区分	主な地域	住宅扶助上限額（円/月）
1級地-1	東京都23区、大阪市、横浜市など	53,700円
1級地-2	さいたま市、名古屋市、福岡市など	47,000円
2級地-1	宇都宮市、岡山市、熊本市など	41,000円
2級地-2	盛岡市、山口市、鹿児島市など	37,000円
3級地-1	旭川市、松江市、佐世保市など	32,000円

※最新の上限額は自治体の福祉事務所で確認してください。

高すぎる家賃では受給できない？

住宅扶助の上限を超える物件に住んでいる場合、生活保護を申請しても受給が難しくなる場合があります。
ただし、以下のようなケースでは例外的に認められることがあります。

短期間のみ住宅扶助の上限を超える家賃の支給が認められる場合がある
- 申請時に高い家賃の物件に住んでいても、転居を前提に数カ月間は上限を超えて支給されることがあります。
転居を求められることがある
- 長期間上限を超える家賃の物件に住むことは認められないため、自治体から転居の指導を受けることが多いです。

生活保護で住める物件の探し方

生活保護を受けながら住める物件を探す際は、以下の点に注意するとスムーズに進みます。

✅ 「生活保護可」の物件を探す

不動産サイトや不動産会社に「生活保護受給者向けの物件を探している」と伝えるとスムーズ。

✅ 住宅扶助の上限額内の物件を選ぶ

家賃が上限額を超えると自己負担が発生するため、上限内の物件を探すことが大切。

✅ 保証人不要の物件を探す

生活保護受給者は保証人を立てるのが難しい場合があるため、「保証人不要」の物件がオススメ。

引っ越し費用の支援はある？

生活保護受給者が転居する場合、引っ越し費用の支援を受けられることがあります。

🔹引っ越し費用の支援を受ける条件

現在の家賃が住宅扶助の上限を超えている場合
家主から退去を求められている場合
住居の老朽化や災害などで住み続けるのが困難な場合

🔹支援される内容

敷金・礼金
引っ越し業者の費用
新居の仲介手数料

ただし、すべてのケースで支援が受けられるわけではなく、自治体の判断によるため、必ず福祉事務所に相談することが必要です。

生活保護での暮らし方と節約術

生活保護での食費のやりくり

生活保護の支給額は限られているため、食費の節約が重要になります。
無理なく栄養を摂りながら節約するためのポイントを紹介します。

食費を抑えるコツ

✅ まとめ買いを活用する

週1回のまとめ買いで無駄な買い物を減らす。
特売や割引シールが貼られた商品をチェック。

✅ 自炊を基本にする

外食は費用がかさむため、自炊を心がける。
ご飯を多めに炊いて冷凍し、無駄をなくす。

✅ 節約食材を活用する

米・パスタ・じゃがいも → 安くて腹持ちが良い
もやし・豆腐・納豆 → 栄養価が高くて安価
鶏むね肉・豚こま肉 → コスパが良い

✅ 食品ロスを減らす

買った食材は使い切る工夫をする。
賞味期限が近いものから食べるようにする。

💡 1カ月の食費目安（単身世帯）

食費内訳	金額（円）
米・パン類	4,000
野菜・果物	5,000
肉・魚	6,000
豆腐・納豆・卵	3,000
調味料・その他	2,000
合計	20,000

食費を月2万円程度に抑えることで、他の生活費に余裕を持たせることができます。

医療費が無料になる制度を活用しよう

生活保護受給者は医療費が全額免除される「医療扶助」を受けられます。

医療扶助の仕組み

病院や薬局での 診察・薬代・入院費が無料
健康保険証は不要（福祉事務所からの指示書を提示）
一部の自由診療（美容整形や予防接種など）は対象外

医療扶助を受けるときの注意点

⚠ 事前に福祉事務所へ相談が必要
⚠ 決められた医療機関で受診しないと適用されない
⚠ 歯科治療や眼科診療も無料だが、範囲が限られることがある

病気やケガの際の費用負担がないため、早めに受診することが大切です。

スマホ・インターネット代の節約方法

生活保護受給者でもスマホは持つことができますが、通信費を抑える工夫が必要です。

スマホ代を安くする方法

✅ 格安SIMを利用する

月額1,000円～2,000円でスマホが利用可能
「楽天モバイル」「IIJmio」「mineo」などが人気

✅ 無料Wi-Fiを活用する

自宅にWi-Fiを契約しなくても、公共施設やカフェのWi-Fiを活用

✅ 通話アプリを利用する

LINE通話やSkypeを活用すると、通話料を削減できる

プラン	料金
格安SIM（3GB）	1,500円
Wi-Fiなし（無料Wi-Fi利用）	0円
通話アプリのみ使用	0円
合計	1,500円

生活保護受給者向けの支援制度一覧

生活保護を受けている人向けに、いくつかの支援制度が用意されています。

利用できる支援制度

📌 就労支援制度

働ける人向けに職業訓練や就労支援を提供。

📌 公営住宅への入居優先制度

生活保護受給者は公営住宅に優先的に入居できることがある。

📌 学習支援制度（子ども向け）

低所得世帯の子どもに対し、学習支援や奨学金制度がある。

📌 生活福祉資金貸付制度

急な出費が必要な場合に、無利子または低金利でお金を借りられる制度。

支援制度を活用するメリット

✅ 経済的負担が軽くなる
✅ 自立に向けたサポートが受けられる
✅ 生活の質を向上させることができる

支援制度を活用することで、より安心して生活することができます。

無理なく生活するための工夫

生活保護の範囲内で快適に暮らすためには、節約と工夫が必要です。

🌟生活の工夫ポイント🌟
🔹 中古品を活用する → メルカリ・リサイクルショップで安く買う
🔹 無料サービスを利用する → 図書館・公民館の施設を活用
🔹 趣味をお金のかからないものにする → 散歩・読書・動画視聴など

こうした工夫を取り入れることで、少ない収入でも充実した生活を送ることが可能です。

生活保護の申請方法と必要書類

生活保護の申請はどこでできる？

生活保護の申請は 住んでいる地域の福祉事務所 で行います。
福祉事務所は各市区町村に設置されており、生活保護の相談や申請の窓口となっています。

申請できる場所

🏢 市役所・区役所の福祉課（生活保護担当窓口）
🏢 福祉事務所（地域によっては市役所とは別に設置）

まずは 電話や直接窓口で相談 し、自分が受給対象となるか確認しましょう。

必要な書類一覧

生活保護の申請には、以下のような書類が必要になります。

🔹主な必要書類

📄 本人確認書類（運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など）
📄 住民票の写し
📄 預貯金通帳のコピー（残高証明）
📄 家計の状況がわかる書類（給与明細・年金証書・公共料金の請求書など）
📄 賃貸契約書のコピー（住宅扶助を受ける場合）

自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。

申請が通りやすくなるポイント

生活保護の申請は 審査が厳しい ため、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

✅ 正直に状況を伝える

所持金や収入をごまかすと不正受給とみなされる可能性があるため、正確に申告しましょう。

✅ 生活の困窮状況を詳しく説明する

どのような事情で生活が困難になっているのか、具体的に説明すると審査がスムーズになります。

✅ 申請時に同席者を連れていく

一人では不安な場合、家族や支援団体のスタッフに同行してもらうことも可能です。

✅ 事前に福祉事務所に相談しておく

突然窓口に行くより、事前に相談し、必要書類を揃えてから申請するとスムーズです。

申請が却下される理由と対策

生活保護の申請が却下されることもあります。
その主な理由と対策を紹介します。

❌ 申請が却下される主な理由

⚠ 収入が最低生活費を超えている → 収入が多すぎる場合、生活保護は受給できません。
⚠ 資産（貯金・車・持ち家）がある → 一定額以上の貯金や高価な資産があると申請が通りにくい。
⚠ 扶養義務者（親族）からの援助が可能と判断された → 家族が援助できると見なされると却下されることがある。
⚠ 働けるのに仕事を探していない → 働ける年齢・健康状態の場合、就労意思があるか確認される。

✅ 申請を通すための対策

✔ 貯金や資産を整理する → 一定額以下であれば生活保護の対象になる。
✔ 親族からの援助が難しいことを証明する → 連絡が取れない、援助を受けられない場合は証明を用意。
✔ 就労意思を示す → 働ける場合は職探しをしていることを伝える。
✔ 申請を拒否された場合は「申請拒否書」を求める → 書面で拒否理由を明確にすることで、再申請の対策が立てやすい。